焼き入れ鋼を超硬チップで加工したい！

概要

旋削加工において焼き入れ鋼の仕上げ加工にはCBNチップが利用されることが多いですが、
材質の特性上、チップが欠けやすかったり工具単価が高価なことが悩みになりやすい工具です。
近年では低速・断続加工向けの欠損に強いCBN材質も出てきていますが、材質特性そのものを飛び越えることは難しいのが現状です。

そこで、セコツールズから上記のお悩みにお答えできる可能性のある高硬度材加工用コーティング超硬材質が出ていますので、いくつかの条件でテストしてみました。
目安となる一般鋼向け超硬材質、低速・断続加工向けの最新型CBN材質に加え、同じようなコンセプトの高硬度材向けコーティング超硬でも検証。

どういった加工条件下でご活用頂くのが最適か、ご参考になれば幸いです。

比較工具のご紹介

全てDN○○150404タイプで比較。

各工具のメーカー推奨加工条件イメージグラフ

加工工具の推奨加工条件
高硬度材(HRC60)
国内A社　高硬度用：Vc=40～100m/min, f=0.02～0.10mm/rev.
国内B社　最新CBN ：Vc=60~180m/min, f=0.05～0.30mm/rev.
SECO　　 高硬度用：Vc45～110m/min,0.05～0.145mm/rev.
(TH1000の加工条件 情報元：セコツールズジャパン)

加工テスト

テストはクーラントありで加工。
基本的にどの製品も、欠損しない限り白濁等の異常は見られませんでした。

加工条件：Vc=30m/min、f=0.03mm/rev.

15パス加工後

国内A社製 高硬度向け超硬
最もメーカー推奨加工条件に近い工具であったが、早々にRaが大きく悪化した。



左：国内A社製 一般鋼用超硬、右：セコツールズTH1000
どちらも面粗さ的には悪化がなく、特にセコTH1000は刃先にも大きな変化が見られなかった。

加工条件：Vc=50m/min、f=0.05mm/rev.

15パス

国内A社製 一般鋼用超硬材質
15パスで欠損が発生。

30パス

国内A社製 高硬度向け超硬
下記2製品と比較して欠損が大きく、これ以上の継続は不可と判断。



左：セコTH1000、右：国内B社製CBN
30パスではまだまだ使えそうだったので継続テスト。

120パス

左：セコTH1000、右：国内B社製CBN
どちらも2時間以上加工し続けても、Ra1.0を超えることはありませんでした。

加工条件：Vc=100m/min、f=0.08mm/rev.

15パス

国内A社製高硬度向け超硬材質
大きく欠損。

30パス

左：セコTH1000、右：国内B社製CBN
加工条件がマッチしなかったのか、どちらも30パス手前で欠損。

加工条件：Vc=150m/min、f=0.10mm/rev.

5パス

国内A社製高硬度向け超硬材質
5パスで欠損。

10パス

セコツールズ高硬度向け超硬材質
10パスで欠損。

30パス

国内B社製 低速・断続向けCBN
30パスでも面粗さ等問題なし。周速の高い焼き入れ材加工はCBNの得意領域であることを示していました。

価格イメージグラフ

※国内B社製CBNチップを100とした際の価格イメージ。コーナー単価。

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